肩透かしを食らったのはオイラだけでは無い
土曜日のこと。雪の降りしきる中、オイラは実家へ帰った。
実家に入るなり、普段なら確実に昼寝をしているオヤジの様子が、全く違うことに気付く。まるでオイラのような挙動不審ぶりで、隅々まで居間の掃除をしている。そしてやけに肩に力が入っていたようにも見えたんだ。
無理もない。いや、本当のオヤジの気持ちなんてオイラには想像すらつかないが。。
オイラの姉が帰ってくる。今年籍を入れるであろう彼氏と一緒に。
姉が将来の義兄と帰省するのは今回で二度目になる。前回は顔合わせ程度で会を締めたが、今回はそうもいかないだろう。義兄の大舞台、彼は人生の新たなスタートを寡黙で敬語が苦手なオヤジに対して宣言し、いつまでも独身でフラフラしていた姉もようやくここで小さな花を咲かせることになるだろう。
そんな大舞台に興味本位なオイラは、執拗な茶々を入れるために勇んで帰ってきたのだ。しかしそんな心とは裏腹に、昼寝の出来ないオヤジの何とも言えないうしろ姿を見ると少しだけ切なくもなった。まさに対オトコである。
外は大雪に加えて豪風だった。オヤジが心配した通り、姉達は羽田で一時間足止めを食らったが、ようやく搭乗するとの連絡があった。
オヤジは落ち着かないのかひとまず職場へ戻った。オカンはオイラと新たな家族を含めた五人での会食を用意し、とある寿司屋に予約をしていた。両者とも気合いは十分である。
そんな両親の気合いに触発されたオイラは空港へ姉達を迎えるために見切り発車。
やはりオイラは雪男。空港に近づくにつれて風雪は強まり、真横から車を攻め立てる。
後はご想像の通りである。
空港上空を旋回し続ける鳥取便は、何度も着陸を試みたがこの通りの天候によって難航を極める。オイラが空港に到着して一時間後、ANAにもようやく諦めがついたようだ。
「鳥取便は、伊丹に着陸いたします。」
完全に肩透かしをくらったオイラは空港を後にし、再び実家へ舞い戻る。完全にガソリンと時間を無駄にしたオイラはオヤジの何とも言えない顔を見てますます腑に落ちなかった。
それは残念なようでちょっぴり安堵しているようにも見えたのだ。娘を想うオヤジの心なんてまだまだガキンチョのオイラには分かりませんなあ。
その後、折角なので予約していた寿司屋にこの三人だけで向かうことに。痩せて頬のこけた車だん吉と、妖艶らしさがひとつも感じられない夏木マリ、そしてロナウジーニョ改め生瀬勝久は静かに寿司を楽しむだけであったのだった。。
極度の緊張感はまたの機会に持ち越しと。
それがオヤジや義兄にとって良かったのか悪かったのかなんてオイラには
「関係~無いから、関係無いから! 関係~無いから、関係無いから!!」
である。





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