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29 June 2008

相方の暴走 弐

雲行きの怪しい中でオイラは愛車を走らせた。

たまにはエンジンに刺激を与えねばと、貴重なガソリンを程よく撒き散らす。場所はとある片道一車線の国道主要道路。

目の前を走るゆっくりとした足取りの農耕トラックが右折をした。その時であった。。

 

 

 

オイラは全く競馬に興味が無い。嫌いな訳では無いけども、今までに機会が無かったせいか競馬場に行ったことも勿論、場外馬券を買ったことすらない。

けれでも何となく日曜の昼下がりにTVでそれらを見ていると、レース中の駆け引きにはいつも興奮させられる。それも馬というよりはついつい騎手に目がいってしまう。

ただ調教という仕事をこなすだけでなく、厩舎との人々との摩擦や馬主との衝突。さらにはライバル騎手との激しい対立の中、ようやくその馬の騎手としてレースに出場していると勝手に背景を妄想してしまう。

それ以上に馬の性格や走りの特徴など持ち味を十分に発揮しなければ勝利は無いのであろう。もはや馬と騎手は一心同体なのだ。

より優れた騎手は最終コーナーぎりぎりまで血の気の濃い相方の暴走を手綱を持って制し、時を見計らったところで一斉に鞭をもってこれを解き放つ!まさに圧巻であり勝負師そのものである。うひょひょ~たまらんなあ。。

 

 

相方の暴走。何故オイラはいつも制することができないのであろうか。

トラックが右折をした後、目の前には真っ直ぐなホームストレートが広がる。天候はやや霧雨の状態で地面はダートまではいかないが、あまり良いコンディションではない。

だがライバルは辺りにはもういなかった。要は悠々とウイニングランをするだけで簡単に事は済むこと。だがオイラの相方の心境はそうでは無かった。先程まで目の前を堂々と遮っていていたトラックによってかなりのフラストレーションが溜まっていたのだ。

オイラは不覚にも手綱から手を離してしまった。相方はここぞとばかりにギアを一段階上げ、ぬかるんだ道路にめげもせず、猛スピードで突進し始めた。ハイドロプレーニング現象に怯えたオイラにはそれを制することはできずただただ車内を放浪していた。おひょひょ~。

 

我に返ったのは背後から忍び寄る刺客に気づいた時であった。

その馬の両耳には赤く点滅する大きなピアス。大きな目と口を開け、殺気に満ちあふれているその様は、まるで何かを訴えているようにも見て取れた。さらに恐ろしいのはそれにまたがる騎手共である。何故かその馬には二人も騎手が乗っていた。一人は鞭を叩きながら大声をあげ、一人は何やらおびただしい小道具を振り回している。

完全に後ろを取られた。オイラの相方による悪あがきも、もはやこれまで。

 

相方の暴走はオイラの暴走。全ての責任は騎手にある。そう思いながらオイラは無力な可愛い目をした相方の頬をそっとなでなでしながらその道悪功者から苦しくも降りたのだった。

 

速度超過~減点~罰金~。

運が悪かったなんて、そんな考えしてるくらいなら騎手を辞めてしまえ!

 

 

  

車とのつき合いには気苦労が耐えません。

順調なのは減量くらいですねえ。。。

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19 June 2008

告白

久しぶりに小説を読んだ。いや正確に言えば小説に読まされたのかもしれない。

 

 

元々オイラは幼少の頃から漫画ばかりを読んで育った。活字を読むのが全くの苦手で、調子に乗って購入した推理小説を何冊も途中止めにしてきた。それもあってかどうかは分からないが、現代文が最も苦手な教科になってしまい、読解力や創造力の無さを試験の答案をもって思い知らされてきた。

長い文章を読むと、最初こそは何とかして読み砕いていくのだが、徐々に集中力が無くなってくる。作者が何を言いたいのか、登場人物が何を主張したいのか、主旨や要点がどこに置かれているのか迷子になってしまう。しまいには内容と全く別の考え事をし始め、何故か同じ行の文を何度も繰り返し読みだし、最終的には眠くなってしまう。完全に阿呆である。

今やいい歳して朝刊を読むのがやっとこさの人間になってしまった。

 

そんなオイラに対して突然友人が小説を勧めてきた。現実と妄想の狭間で浮足立っているオイラに見かねての意外な一言だった。是非オイラに読んで欲しいとのことで、その主人公はオイラにそっくりだってよ。

町田康。布袋に半殺しにされた彼の小説を読む。実のところ彼の事はあまりよく知らない。どんな楽曲や小説を民に提供してきたのか全くの未知数であったオイラはあまり考えずに読みだした。

 

かなり分厚い長編小説に初心者のオイラは若干気遅れしたが、せっかくの機会だと思い込み、慣れない河内弁に翻弄されながらも毎晩少しずつでも読み続けようと決心した。

その昔、明治に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフにした長編小説。主人公は非常に物事を深く考えすぎる癖があった。この小説の言葉を借りると思弁癖である。その思弁を表現する言語を持たない彼は無情にも孤独感や疎外感を勝手気ままに味わうことに。そんな思いと言語と行動がバラバラになってしまいがちな彼はコミュニケーションという壁にぶち当たり、友情や恋というものから見放されていく。

歯痒い。もどかしい。

オイラは友人に言われたとおり、その主人公をオイラに重ねて読むことに。すると今まで小説を避けてきた原因である活字という障害も、そんな彼の性格や心の声でいとも簡単に乗り越えることができ、どんどんのめり込むオイラがそこには存在した。

 

主人公の最期は実に悲劇であった。流石にそこまでオイラは追い詰められていないのかもしれないが、そこには十分に共感できるし彼の再三に渡る独り言には度々涙を流した。

何とも語りつくせない内容だったが、我の心では何度でも語りつくしたい、そんな気持ちにな った作品であった。

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じめっとした寝苦しい梅雨の夜に、それに身を任せて漂う自分に少しばかり居心地の良さを感じた今日この頃。

本当の本当のところの本当の自分、一体どこへ流されていくのだろうか。

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