相方の暴走 弐
雲行きの怪しい中でオイラは愛車を走らせた。
たまにはエンジンに刺激を与えねばと、貴重なガソリンを程よく撒き散らす。場所はとある片道一車線の国道主要道路。
目の前を走るゆっくりとした足取りの農耕トラックが右折をした。その時であった。。
オイラは全く競馬に興味が無い。嫌いな訳では無いけども、今までに機会が無かったせいか競馬場に行ったことも勿論、場外馬券を買ったことすらない。
けれでも何となく日曜の昼下がりにTVでそれらを見ていると、レース中の駆け引きにはいつも興奮させられる。それも馬というよりはついつい騎手に目がいってしまう。
ただ調教という仕事をこなすだけでなく、厩舎との人々との摩擦や馬主との衝突。さらにはライバル騎手との激しい対立の中、ようやくその馬の騎手としてレースに出場していると勝手に背景を妄想してしまう。
それ以上に馬の性格や走りの特徴など持ち味を十分に発揮しなければ勝利は無いのであろう。もはや馬と騎手は一心同体なのだ。
より優れた騎手は最終コーナーぎりぎりまで血の気の濃い相方の暴走を手綱を持って制し、時を見計らったところで一斉に鞭をもってこれを解き放つ!まさに圧巻であり勝負師そのものである。うひょひょ~たまらんなあ。。
相方の暴走。何故オイラはいつも制することができないのであろうか。
トラックが右折をした後、目の前には真っ直ぐなホームストレートが広がる。天候はやや霧雨の状態で地面はダートまではいかないが、あまり良いコンディションではない。
だがライバルは辺りにはもういなかった。要は悠々とウイニングランをするだけで簡単に事は済むこと。だがオイラの相方の心境はそうでは無かった。先程まで目の前を堂々と遮っていていたトラックによってかなりのフラストレーションが溜まっていたのだ。
オイラは不覚にも手綱から手を離してしまった。相方はここぞとばかりにギアを一段階上げ、ぬかるんだ道路にめげもせず、猛スピードで突進し始めた。ハイドロプレーニング現象に怯えたオイラにはそれを制することはできずただただ車内を放浪していた。おひょひょ~。
我に返ったのは背後から忍び寄る刺客に気づいた時であった。
その馬の両耳には赤く点滅する大きなピアス。大きな目と口を開け、殺気に満ちあふれているその様は、まるで何かを訴えているようにも見て取れた。さらに恐ろしいのはそれにまたがる騎手共である。何故かその馬には二人も騎手が乗っていた。一人は鞭を叩きながら大声をあげ、一人は何やらおびただしい小道具を振り回している。
完全に後ろを取られた。オイラの相方による悪あがきも、もはやこれまで。
相方の暴走はオイラの暴走。全ての責任は騎手にある。そう思いながらオイラは無力な可愛い目をした相方の頬をそっとなでなでしながらその道悪功者から苦しくも降りたのだった。
速度超過~減点~罰金~。
運が悪かったなんて、そんな考えしてるくらいなら騎手を辞めてしまえ!
車とのつき合いには気苦労が耐えません。
順調なのは減量くらいですねえ。。。




































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